鹿島美術研究 年報第6号
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36.万国博覧会と近代日本美術ー1900パリの日本人画家を巡って一『1900年パリ万国博覧会公式目録』の第2巻,美術作品の第2グループ(クラス7から10まで)の465頁から480頁には,同博覧会に出品した日本人画家の名前と出品作品ネーゼの才能と彼が要求された特定の史的役割との最も幸福な合致例といえるのではあるまいか。研究者:三重県立美術館学芸員の題名が記載されている。クラス7とは,絵画・カルトン・デッサンのことで,同8は銅版画と石版画,同9は彫刻・メダル彫刻・宝石装飾,同10は建築図案である。日本は,クラス7に計138名,同8に1名,同9に49名,同10に3名が出品している。絵画から順に見ていくと,まず「日本於シャンゼリゼのグラン・パレ,クラス7: 絵画・カルトン・デッサン。」という分類で,そこには以下の画家を含めて総計138名の目録がある。安藤仲太郎,荒木十畝,荒木寛畝,荒木探令,浅井忠,跡見玉枝,福井江亭,藤島武二,五姓田芳柳,下条正雄,萩生田文太郎,橋本雅邦,畑仙齢,平林甘松,広瀬勝平,今尾景平,猪瀬東寧,石川欽一郎,石川寅治,鎌田梅石,川端玉章,河合新蔵,河久保正名,菊地芳文,北蓮蔵,小林呉嬌,小林萬吾,熊谷直彦,久米桂一郎,黒田清輝,馬杉青琴,松井昇,満谷国四郎,三宅克己,溝口禎次郎,水野年方,森琴石,森川曽文,諸星成章,望月玉泉,望月金鳳,村瀬玉田,村田丹陵,中川八郎,中村勝治郎,中村鉾太郎,中沢弘光,野口小頻,野村文挙,野沢如洋,大出東皐,大稿翠石,大森敬堂,岡田三郎助,奥原晴翠,大下藤次郎,尾竹竹域,内海吉堂,上村松園,佐久間棲谷,佐久間鉄園,佐竹永邦,佐藤紫姻,島崎柳塙,下村観山,白滝幾之助,小代為重,庄野宗之助,鈴木華祁,鈴木松年,高橋玉淵,武村耕謁,竹内栖鳳,滝和亭,谷口香嬌,寺崎広業,戸田玉秀,都鳥英喜,和田英作,渡辺香涯,山元春挙,山本森之助,山名貫義,山岡米華,矢崎千代二,横山大観,吉田博,湯浅一郎,結城素明などで,出品点数は総計193点。画家では他にクラス8:版画部門に合田清が出品している。この出品点数は,総計760名近い画家が2,000点ほどの絵画を出品しているフランスを除くと,米国(352点),ロシア(283点),英国(276点)に継ぐ数であり,オーストリア(176点)とドイツ(168点)を凌いでいる。しかし数量の多さからは,日本の博覧会事務局の熱意は伺えても,内容や質について問いただすことはできない。荒屋敷(1) 透-197-

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