(3)極楽寺蔵『六道絵』3幅(2)第5段。恒河の水を飲もうとすると水が炎となって飲めない餓鬼が,釈迦に願い,そ(3)第6段。仏弟子阿難が,口から火を吐く烙口餓鬼を仏名を唱えることによって救う物(1)京都国立博物館蔵『餓鬼草紙』(旧曹源寺本)1巻(1)第3,4段。仏弟子目連が餓鬼道に堕ちた母を救う物語。第3段に川辺で母に食物を(1)讐喩経所説念仏功徳図。1人の比丘が堕地獄の母を救うため,父を殺して国を奪った(2)優婆塞戒経所説念仏功徳図。酒肉を貪り,殺生を好み,精進することのなかった釈迦(1)仏弟目連が地獄に堕ちた母を,地獄・餓鬼・畜生の各道を経で1、JJ利天へ救う物語。ここの結果,明らかに六道からの救済説話を組み入れた作品は次の3点であった。(2)聖衆来迎寺蔵『六道絵』15幅この3点の六道絵,とくに(2),(3)は本研究をすすめる上での基本資料となる作品である。したがって以下に少し詳しくその内容を把握しておきたい。1.京都国立博物館蔵『餓鬼草紙』(旧曹源寺本)1巻12世紀末詞・絵とも7段からなる絵巻で,その第3,4段,5段,6段に救済説話を描く。与えるが炎となって燃え上り,目連は霊鷲山の釈迦を参って救母の法を聞く場面。第4段に川辺で,目連に与えられた食物の上に坐る母と食物を乞う餓鬼の姿を描く。出典は『孟蘭盆経』。の助けによって人間に転じ,さらに菩薩となって往生する物語,出典は不明。語。出典は『救抜烙口餓鬼陀羅尼経』2.聖衆来迎寺蔵『六道絵』15幅のうち2幅13世紀後半15幅からなる絵で,地獄図4幅,閻魔王庁図1幅,餓鬼道・畜生道・阿修羅道の図各1幅,人道の図4幅,天道図1幅とともに念仏による救済図が2幅含まれる。王に南無仏と名号を唱えることを教え,その功徳によって母を始め王や地獄の罪人すべてを救出した物語。出典は『往生要集』。の前生である広利とという男が,地獄に堕ちたが,寺の鐘の音を聞くたびに妻に教えられたとおり念仏を唱えたことによって↑J]利天に昇り,往生するという物語。出典は『往生要集』3.極楽寺蔵『六道絵』3幅14世紀初め3幅からなる図で,六道とともに十王図も描く。地獄図を3幅にわたって描き,救済の説話は短冊形に登場人物が明示され,概ね地獄図中に描かれる。-204-
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