鹿島美術研究 年報第6号
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(2)不念仏・不勤業であった武当寺の僧規は(3)殺生を業とする虞安良は落馬して死ぬが,の物語は『孟蘭金経jに説かれる物語よりも複雑な構成で,14世紀になって日本に輸入されたものであり,いち早〈それを取り入れた図である。描かれるのは,阿鼻地獄の城門の前で目連と母が対面する場面,目連か~韮我鬼をする場面,狗身の母が目連にまとわりつ〈場面,女身に戻った母が瑞雲に乗って昇天する場面の5場面である。出典は『目連救母経」。死して地獄に堕ちるが,冥王の前で稽首念仏することにより,許されて蘇生したという物語。図は五官王の前で赤縄で後手に縛られて片膝をつ〈男力弔叡かれる。「法苑珠林Jほかに収録。生前に兄が釈迦像を建立するのを援助してその像の助けによって蒜生するという話。図は牛頭馬頭の獄卒が曳く火車に乗せられた男が,頭上に現じた僧の持つ枝からしたたる滴を両手にうける様を描〈。「三宝感応要略録」ほかに収録。図1施餓鬼図2虞安良-205-

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