鹿島美術研究 年報第6号
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(1) 西洋中世美術における物語芸術の研究Carolingian Art(カロリング朝美術の独自性)」という題目の講演会が行われた。British Museum :'New Observations on the Cotton Genesis(大英博物館の最もいs Outside the Walls(サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ聖堂における『兄弟の親和』)2.昭和63年度申請者:愛知県教育大学教育学部助教授浅野和生招致研究者:ジョンズ・ホフ゜キンズ大学教授ジョンズ・ホプキンズ大学美術史学科教授ハーバート・ケッスラー博士は,鹿島美術財団より「外国人研究者招致」援助を受け,1988年6月6日から同20日まで,日本を訪問した。15日間の日程は,日本美術の実見と調査,日本の研究者との交流・意見交換,及び4度にわたる公開の研究発表・討論に開の研究発表・耐論の内容と,そこで得られた成果について報告する。6月11日には,名古屋大学を会場とし,美術史学会の主催で,「TheOriginality of カロリング朝時代の美術については,その古代美術復興の面が注目されることが多く,独自性,革新性については等閑視されがちである。ケッスラー教授の講演は,カロリング朝美術の実像を描くとともに,教授自身の著書と,それに対する批評を土台にして,「独自性」という概念の意味を掘り下げ,さらに,近・現代の文化においてなぜ「独自性」が重視されるのかという問題までを追求するものであった。ケッスラー教授の講演は,精緻かつ具体的で,参加者によく理解され,講演後活発な議論が行われた。6月14日,東京芸術大学における諧演は,「TheMost Lamentable Relic in the たましきの写本挿絵を主題にしたものであった。この講演と討論には,かねてからこの作品を研究してきた名古屋大学教授辻佐保子,東京芸術大学助教授越宏ーも参加し,この日のケッスラー教授の講演,及び最近ケッスラー教授とその師ヴァイツマン教授の共著で発刊された「コットン創世記」の研究書をめぐって,討論が行われた。6月17日には立教大学セント・ポール会館において,「Concordiafratrum in St. Paul' 「美術に関する国際交流の援助」(方「外国人研究者招致」『コットン創世記』に関する新知見)」と題され,「コットン創世記」ハーバート・ケッスラーされた。ここでは主として,公-209-

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