鹿島美術研究 年報第6号
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39.仏坐堡ニース個人像伝アフガがあるが,焔がその大光背全体に表現されている。焔は細い波型の線で刻まれており,ガンダーラ美術では非常に稀な烙光背の一例である。ニスタンカビシ地方出土片岩(図16)通肩,禅定印,頭光背,身光背共に鋸歯文で光維が表わされ,更に身光背はその外縁に焔の縁どりがなされている。右肩のみに焔が完全に残っているが,左肩の上部の光背が破損しているので焔も半分だけ認められる。この烙は太〈,縄状のカピシ独特の様式を伝える。前述のギメー(6)とベルリン(31)のパクタグア出土の双神変の仏像の丸顔や,ややふっくらした体つき,若々しい風貌と烙の表現がこの例に非常に類似している点からみても,カピシ様式を伝える作品として注目したい。団結語「焔」のモティーフは,クシャーン朝時代にクシャーンによってペルシャ世界から仏教美図14(3り図16(39) -228-図15(38)

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