鹿島美術研究 年報第6号
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0デトロイト美術館蔵〈日の出》78x 115. 5cm Rothlisbergerは1637年,美術館側はできた「真実の書」以前の油彩画作品を行程順に報告する。〇ノートン・サイモン美術館蔵《樹木のある風景》65X 98cm 1630年から1633年頃までの作品と推定されている。0セント・ルイス美衛館蔵《舞踏する農民たちのいる風景》97x 146cm 1630年代後半のコピーと考えられていたが,最近では1630年頃の真作とみなされつつある。また,許可を得て,収蔵庫の〈エジプトヘの逃避》も見ることができた。こちらはクロードの真作とは思えない。0スペンサー美術館蔵《廃墟のある風景》65.5 X 95cm 1630年の署名がある。メトロポリタン美術館に酷似した作品がある。スペンサーのものは,中景に緑色,後景に青色系を用いた慣例的な色彩遠近法を使用してはいるが,前景から後景への巧みな移行を見せる。メトロボリタンの類似作に関しては,最近17世紀のコピーとする説が示されているが,その描法から推測すれば,更に新しい時代のものに思われる。0ヒューストン美術館蔵《岩の橋のある風景》95X 135cm 1630年頃の作品と考えられている。本作品がどちらの年に制作されたのかという問題は,クロードによる太陽の表現の変遷を検討する上で,大きな意味を持っている。何故ならば,現存するクロードの作品で太陽が描かれているもっとも初期の絵画は,ルーヴル美術館蔵の牛眼型《海辺の風景》と〈海から見たジェノヴァ》,エルミタージュ美術館蔵の〈港の風景》,そして,現在その所在が明らかにされていない某個人蔵〈港の風景》,の何れかなのだが(所在不明作に“1630"と記されていたと伝えられるのを例外として)どの作品にも年記が無い。従って,このデトロイトの〈日の出》が1631年の制作品であるならば,クロード絵画の太陽の表現の出発点がかなり明らかになるのである。0クリーヴランド美術館蔵〈風景》101.5X137cm1630年代前半の作品と推定されている。0ナショナル・ギャラリー蔵《河川風景》94X139.5cm 近年クロードの真作とみなされるようになった。1630年頃の作品と推定されている。0クライスラー美術館蔵《商人たちのいる風景》35.5X51cm 研究者間で真作かコピーか,意見が分かれている作品。H.D. Russellが現存するもっとも初期の真作のひ1631年の制作と主張している作品である。-236-

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