tute for Conservation of Historic and Artistic Works)の会長であったゲリー・ト(エ)国際会議開催(1) 第12回国際文化財保存科学会議申請者:東京国立文化財研究所保存科学部部長馬渕久夫この国際会議は“東洋の文化財の保存”を総合主題として世界各国の専門家が討議を行ない,研究者間の交流を図ることを主要な目的として開催された。世界30ヵ国から会議に集った参加者は,当初の予定を上回る632人にものぼり,研究者相互の活発な討議が行なわれ盛況を呈した。1.開催の決定日本開催の発端となったのは1985年1月のことである。当時IIC(International Insti-ムソン博士と東京国立文化財研究所の所長であった伊藤延男博士の間で話が起り,日本での開催が決った。IICは1950年に創立され,ロンドンに本部を置く文化財保存のための国際学会であり,4,000人の会員を擁する。その事業の一つとして,隔年に欧米の主要都市を廻って国際会議を開いてきた。1988年の会議は第12回目にあたり,アジアで初めての開催となる。1985年の時点で日本人のIIC会員は約40名であったが,伊藤は主な会員と協議して会議の準備と運営のための組織委員会を発足させ,事務局を東京国立文化財研究所保存科学部内に置いた。委員長に山崎一雄,事務局長に馬渕久夫を選任した。2.会議の準備1985年3月,事務局は会場候補地を東京と京都に求めて調査したが,エクスカーションを考慮すると,古文化財の宝庫ともいうべき地域の中心にある京都が適当と判断,準備と後始末の日を入れて1988年9月18日から24日までの7日間,国立京都国際会館を予約した。当初から,会議には国外300名,国内300名,計600名の参加者が予想され,相当額の経費がかかると見込まれた。そこで,財界などからの寄付を仰ぐための募金委員会を設置し,1987年7月より募金活動を開始した。会議プログラムの決定にはロンドンにあるIIC事務局と日本側の組織委員会(山崎一雄委員長)が分担してあたった。アジアで初めてのことなので100件を越す講演申込があったが厳正な審査の結果,口頭発表37,ポスター発表34が選ばれた。このうちアジ-270-
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