24.狩野山雪とその後継者の研究25.殷周青銅器の装飾の研究:二里岡上層期の青銅器の装飾賞の形態とも切りはなすことができない問題であろう。本調査研究はこのような最近の動向をうけ,より発展させるべく構想されたものである。やはり,近年,量,質ともにその豊かさを増すようになった。扇絵,遺品を手がかりとすることで,より実証的な研究が可能となろう。研究者:大和文華館学芸部課長研究目的:従来の近世絵画史では,幕府の御用絵師となり繁栄を誇った狩野探幽らの江戸狩野派をとりあげ主流として論じる。たしかに江戸狩野派がアカデミスムとして果した功績は大きいが,桃山時代の狩野派とちがってその芸術的創造性は低下しているといえる。一方,京都に残留した山楽,山雪及びその後継者は流派としての力は弱く,絵画史としての扱いも傍流としてである。京文化の伝統を守る公家,寺社,町衆の求めに応じて制作した京狩野は当時の江戸画壇から見れば古風なものとして映ったと想像されるが,古典的主題をとりあげ,水墨画技法の基本を忠実に守り学問教養に裏づけられた知的構成は,今日的な眼で見れば,新鮮に映る。山雪が文人的気質をもち,文人画を描いていることは文人画家の先駆として見逃せない。山雪の晩年の奇矯な画風が江戸後期の京狩野につらなる奇想の画家曽我爾白に強い影閻を与えていることも注目されてよい。近年,西洋美術史におけるマニエリスムが見直され,明末清初の個性的画家や江戸時代の奇想的画家が注目されるようになった。とともに山雪の奇矯な個性と知的構成とが結びついた独自の造形性は高い評価を受けつつあるが,この調査研究が今後進展すれば,近世絵画史は書き改めなければならないであろう。研究者:東海大学非常勤講師末房由美子研究目的:殷周青銅器の研究は専ら故字学・歴史学・考古学などの方面ですすめられてきた。或いはまた,断片的に個々の文様の意味が追求され,その意匠の変遷が取り上げられてきた。最近は鋳造技術方面,金属内容分析方面の研究も盛んである。ただし,体系林進他4名-39
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