鹿島美術研究 年報第7号
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4.ポンピドー750■800万人で,ルーヴルの倍以上であるが,そのうちの半分以上の430■440万人が5.ロダン美術館6.ブールデル美術館通観できる。オルセーでは,改築のあり方とともに,函館の開館記念展以来,筆者が関心を深めている印象派の作品と,道近美の収集方針からアール・ヌーヴォ一部門中心に見学した。ポンビドーは,近代美術館(MNAM),公共情報図書館(BPI),産業デザインセンター(CCI),音需研究所(IRCAM)の主要4部門からなる総合的な芸術文化センターであり,その概要構造,統計資料等については別紙にまとめたのでそちらを参照していただきたい(資料①)。全体的な印象として,予想以上に情報図書館の比重が高いことである。スペースの上では美術館と図書館はほぼ同じであるが,入場者をみると,ポンピドー全体で年間図書館の利用者で美術館だけの利用者は114万人にとどまり,この数字の15%にすぎない。また職員数も,全体で約1,000名いるが,美術館は館長1,事務1,学芸15の17名で,図書館の252名,美術館図書室27名と比べるとかなり少ない。つまり,ポンピドーは,情報や図書を中心とする情報センターであり,物をあつかう美術館はその関連の中でとらえられている。また20世紀の芸術は,哲学,宗教,文学,演劇,音楽,産業デザインといった広い範囲の中でとらえなければならないという考え方が根底にある。それゆえ,芸術文化に関する情報は総体として扱われ,物ぱ情報の一部として同格にとらえられ,その中で物と情報が同時に収集,保管,整理,展示されている。つまり美術館も情報処理の一形態であるという考えで,こうした情報中心思考は,梅悼忠夫氏の博物館から博情館への考え方と軌を一にする。ロダンについては,筆者はロダンとダンスのテーマにかねてより注目していたので,彼が晩年手がけたニジンスキーをモデルにした作品を中心に,ロイ・フラー,イサドラ・ダンカンとの出会い,カンボジア・ダンスとの関連等,また花子の像などに焦点をしぼって作品鑑賞する。また,売店ではこうした観点に重要な示唆を与えると思われる文献「ロダンと極東」を入手する。旭川の開館記念展や,道立美術館のモニュメント,当館で7点を常設するなど,ブ_,。_

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