鹿島美術研究 年報第7号
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20世紀彫刻と構成,平面と立体,オブジェとレリーフ,パピエ・コレとコラージュと8.グラン・パレ,プチ・パレ,パリ市近代美術館20世紀美術の主要作家の作品が数多く集められ,コレクション・カタログもつくられ9.総局と連合ールデルは筆者と縁があり,これまでも資料収集につとめ,文章も書いてきた。生前のアトリエと住居をそのまま利用した美術館は静かで落着いた零囲気であるが,細かい部分で,予想外に館内施設の整備がいきとどいておらずとりわけ小品を展示する彫刻台の布のハガレなどが目立った。また,シャンゼリゼ劇場のレリーフを実見した事を付記しておく。7.ピカソ美術館ピカソについては,旭川でのピカソ陶芸展,函館でのピカソ展の仕事で関わりをもった。あらためてピカソの創造力に感銘するが,その中でも有益であったのは,紙,ブリキ,布,ひも,砂などを使ったレリーフ的彫刻作品を数多く実見できた事である。いった20世紀芸術の重要な部分のすべてにピカソが関与していることを確認する。いずれも万博の展覧会場を利用してつくられた美術館。グラン・パレは,ギャラリー的性格が強く,国際現代芸術見本市(FIAC)やサロン・ドートンヌ,サロン・デ・ザルティステ・フランセ等の公募展が関催され,作品の収集や保存活動はおこなわない。私が訪れた時も日仏現代美術展が開催中であった。プチ・パレは,デュチュイ遺贈のコレクションやタック・コレクションを中心に,17■18世紀の絵画,陶器,印象派等の作品を所蔵常設し,所蔵品カタログも作成している。パリ市近美も,当初は公募団体展のギャラリーとして使用されていたが,現在ではている。展覧会ではARC(Animation, Recherche, Controntation)と呼ばれる企画が野心的,実験的,先鋭的との評があり,関係者の注目をあつめている。少なと人員が,逆に大組織の管理機構を負わずにすむ利点が生かされている例。ルーヴル,オルセー,ポンピドー,ロダン,ピカソ,モロー,グラン・パレは,国立の美術館としてフランス美術館総局の管理下にある。パリ市近美,プチ・パレ,ブールデル,カルナヴァレは市立で,パリ市文化局美術館課の管轄下にある。マルモッタンは,寄贈者で,かつコレクターでもあったポール・マルモッタン自身の邸宅がそのまま美術館となったもので,美術アカデミーに所属するマルモッタン財団所有の美91

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