⑲ 商周青銅器の装飾の研究:二里岡上層期の青銅器の装飾月8日にかけて,北京・鄭州・新鄭・上海を訪れ,二里岡上層期青銅器の装飾の実態研究者:東海大学・文化女子大学・青山学院大学非常勤講師末房由美子研究報告:本調査研究の目的は,青銅器芸術として世界に例の無い優れた造形美をみせる商後期青銅器の装飾の形成過程を明らかにすべく,先行する二里岡上層期青銅器の装飾に実態を把握し,その特質を明らかにすることである。今回はとくに,鄭州出土の大方鼎4点の調査研究,二里岡期青銅器を出土する中心地域鄭州での同期青銅器の調査研究,この二点を目標に掲げ,1990年3月22日より4にふれた。調査記録北京3月22日〜26日故宮博物院青銅器館:二里岡期青銅器5点(1)獣面文尖足鼎(2)獣面文尖足鼎(3)獣面文狐(4)網文罪(5)弦文罪北京では中国歴史博物館が改装のため閉館していて青銅器の実見は今回もまた果せなかった。とくに大方鼎(杜嶺I)の詳細な実見観察を予定していただけに残念であったが,そのかわり故宮博物院の青銅器館で十分な時間をかけることができた。筆者は今回の歴史博物館同様,これまでこの陳列館は改装中であったり日数の不足などで見学する機会に恵まれなかったものである。青銅器は商代から戦国時代にかけて52の陳列ケースに陳列されている。各陳列ケースは1ケース1テーマとなっていて一順すると時代とテーマ毎に青銅器の全容を知ることができる。撮影をケース毎に全体と各器の繰返しですべて行い,観察し,改めて青銅器の全体の展望をはかることができた。一里岡期の青銅器は『4.簡単で素朴な商代前期青銅器』と題される1ケースに収められた上記5点の青銅器で,これらを1点毎に撮影し,鋳造・損壊の状態,器の構造,器形の全体や部分の意匠,装飾意匠,色彩などの各方面で目立った点を記録した。-152-
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