であるが,参加学生が見学資料を用意し,場所によっては,見学先の関係者,見学担当の教授,参加者のうちの専門の学生の説明を受けた。なお,研究会,見学には,世話人会のメンバーが適宜同席,同行したが,彫刻関係の参加学生があり,見学先にも彫刻関係のあることにかんがみ,絵画専門である河合,山下両世話人会メンバーに加え,彫刻専門の上智大学石橋智慧非常勤講師が全日程同行した。プログラムの運営などには東京芸術大学,東京大学,上智大学よりの参加者が幹事として当たった。研究会においては日米での研究法のかなりな違いなどを含め,専門を越えて,学ぶ所が多かったことが参加者の報告に述べられている。見学先では,普段なかなか見られない品々を目近に観察でき,その場で意見が交換できただけでなく,関西での上記見学先のほか,京都,奈良の諸寺院での現地研究は深い印象を残した。特に東大寺の国宝修理所における金剛力士像解体修理の現場を見学し,修理所長小野寺久夫氏の説明をうかがえたことは希有の経験であった。京都滞在中には,源豊宗教授,島田修二郎教授などの大先輩,見学先の関係者,参加者と同年代の研究者などを交えてのパーティーが鹿島美術財団によって催され,また東京滞在は,上智大学における建築家槙文彦氏の講演への出席と,夜の若い研究者との懇親会によって締めくくられた。参加者からのレポートには上記のような成果とともに,この会議の援助に当たられた鹿島美術財団と直接とお世話に当たられた山本専務理事,前川常務理事ならびに鹿島建設関西研修センターの方々に対する謝意ならびに,この会議が今後も続けられるようにという希望が強く述べられている。-235-
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