③ オーギュスト・ロダンのブリュッセルにおける自己様式形成について[ 1 J日本においての関連論文入手と予備調査研究者：東京国立近代美術館企画資料課企面渉外係文部技官・研究職研究報調査研究は大別すると，日本においての関連著作論文の入手と予備調査と，ブリュッセル及びパリの現地にての実地調査に別れた。ロダンのベルギー時代を扱った論文著作は皆無と思われたが，以下のものが基本的文献として入手され，大変有用であった。これらの文献から総合的に言えることは，ロダンが普仏戦争下，極度の近視を理由に除隊して後，生活費を得るために，かつての雇い主で，戦火のパリを避けてプリッセルにアトリエを設けていたカリエ＝ベルーズ(1824-87)を頼って，同地に赴いたとはいえ，ブリュセル自体が，パリ同様，近代化による都市改造のさなかの経済的な活動的な都市であるだけでなく，豊かな文化遺産を背景にしていたという「積極的な」理由もあったと考えられることである。さらに，パリとブリュッセルの間における人物交流は，19世紀においてかなり行なわれていたという事実がある。実際地理的にさほど遠くないこの2つの都市は，しかし，政治的亡命や文化の移入という重要な歴史の要因を生み出していたのである。この時代背景はロダンのベルギ一時代研究においても考慮されるべきである。橋幸次Micheline Hanotelle, Paris/Bruxelles Rodin et Meunier -relations des scul~es a la fin du XIXe siさcle,1982. Editions du Temps, Paris. Alain Beausire et HelさnePinet (textes clsses et annotes par), Paris. Claudie J udrin, Inventaire des dessins, Tome I, 1987, Editions du Musee Rodin, Paris. Cecile Goldscheider, Auguste Rodin -catalogue raisonne de l'oeuvre sculpte, Tome I: 1840 -1886, 1989, Wildenstein Institute, Paris. Corres~, Tome I : 1860-1899 1985, Editions du Musee Rodin, -248-
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