② 近代百年中国絵画、画家資料の収集と研究について(昭和63年度助成)研究者:東京国立文化財研究所写真資料研究室長鶴田武良研究報告:助成金申請当初の計画では,昭和63年秋に2ヶ月間,南京師範大学を中心に,南京において民国期刊行物の調査を行う予定でありましたが,公務等の都合により,平成元年4月下旬に訪問したい旨,南京師範大学に連絡し,昭和63年12月から招聘状発給等の入国関係書類の手配を依頼しましたが,先方からの連絡が途絶え,またその間に,中国国内情勢に変化が生じたことを考慮して,4月下旬の訪中計画を一旦取止めました。その後平成元年秋に入って連絡が復活しましたが,南京師範大学から招聘状の発給を受けるにはなお,いくつかの問題があることが判りましたので,観光ビザで,平成元年12月5日から同月24日まで渡航滞在し,南京師範大学,南京大学,南京図書館,江蘇省美術館において,民国期の絵画関係資料,とくに初期の美術教育資料の調査を行いましたが,いくつかの事情によって期待していたような成果を得ることが出来ませんでした。帰途,上海図書館に立寄りましたところ,昭和58年10月に訪れた折には,外国人には閉鎖されていた古籍室が解放されていて,かなり重要な資料が所蔵されていることが判りました。そこで平成2年4月26日から5月13日まで渡航滞在し,上海図書館において民国期の美術学校,美術団体,美術運動,美術展覧会に関する,多くの重要な資料を得ることが出来ました。更に北京図書館において,かつて同図書館移転前に行った調査資料の確認作業を行いました。これまでの調査によって,民国期の美術学校出の卒業生名簿,及び美術団体の会員名簿,約30件を得ましたので,それらを画人カードとは別に何らかの方法で覆刻公刊し,本助成金による調査研究成果の一部としたいと考えています。-274-
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