鹿島美術研究 年報第7号
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—根本的に異なる伝統に基づいている西洋絵画と東洋の書との合流点,相違点(対立点)(N eo-japonisme)の観念は適当であろうか。研究目的の概要:① 戦後日本の書芸術とその西洋美術関係研究者:パリ大学(第一)院生ドラリュー・フランセット(DelaleuFrancette) 研究目的:意義戦後おこなわれた西洋絵画の中の“calligraphy"と書芸術との出会をめぐって当調査研究は両者比較の指標を置く事を目的としている。日本側から見たその現象は次の点を明らかにする。ー間接関係:日本においての西洋美術展覧会に対しての書道界の反応(注目をあびた作品,その意義そこから生れる理論的な考察や実践)。ー直接関係:来日した欧米芸術家との接触,作品(写真)の東西交換,創造活動について見解のつき合わせ。価値書道界の内側から得た知識を通して。ー書芸術の本質的な問題点(創造過程,理論及び造形上の模索など)を限定する。を指摘する。構想理由書芸術の事情を把握した上で,戦後芸術における記号性や筆勢の問題提起の中で書的(calligraphy)な要素を要求している西洋作品の検討や評価方法を指摘する。美術史的な視野において,国際文化交流の中でよく知られていない日本の書道界を位置づける。それから五十年代の世界芸術事情を把握されて,部分的には新日本主義② 中世ヨーロッパの聖書写本挿絵に対する図像学的研究研究者:大阪大学大学院文学研究科博士課程ジョンズ・ホプキンズ大学(アメリカ)美術史学科博士課程研究目的:本研究は中世ヨーロッパにおける精神的支柱であるキリスト教の聖典であり,従って中世美術研究において中心的位置を占めるべき聖書の挿絵の図像学的研究である。石塚晃-16

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