本研究は,こうした,いわば戦後第2期のスルバラン,セビーリャ派研究の動きに連なるものであり,17世紀セビーリャ派の歴史的状況のなかからスルバランエ房の活動の実態を明らかにすることによって,我々のスルバラン理解をより豊かなものにしたいと考えている。⑭ 南北朝時代以降における仏師と仏師組織に関する研究_京都を中心にして一研究者:京都府教育庁指導部文化財保護課技師米屋研究目的:諸寺院において仏像の悉皆調査を行った場合,南北朝,室町時代以降の彫刻の数が圧倒的に多い。従って我が国の彫刻史において,この時期の占める意義は無視できないものがある。しかし,従来の彫刻史研究は鎌倉時代以前に重点が置かれ,南北朝時代以降の彫刻は芸術的に水準が低いと見なされてきたために,この時期の作品については作品そのものの様式的展開はもちろん,仏所組織をはじめ制作の状況も十分明らかにされているとはいえない。近年,奈良地方の仏師については,春日仏師,宿院仏師をはじめとして,この時期の仏師の作品が次々に紹介され,その様式的展開も解明されてきている。しかし,京都のこの時期の仏所組織については,まだほとんど手がつけられていないのが現状である。中世を通じて文化の中心は京都あったのであり,この時期の京都における仏師および仏所組織のあり方を明らかにすることは,彫刻史の中心的な部分を明らかにするにとどまらず,中世文化の状況をもうかがい知る材料となり得る。一方で,従来遅れてきた,南北朝,室町時代の彫刻個々の調査を詳細に行うことによって,この時代の京都仏師による彫刻の総目録(基本台帳)を作成し,今後の研究者に対し,基礎的な資料を提供することができると考えられる。優Century,'Boletin del Centro de Ivestigaciones Historicas y Esteticas (Caracas) 25, 1983., Francisco Manuel Martfo Morales;'Aproximaci6n al estudio del mercado de cuadros en la Sevilla Barroca 1600-1670', Archivo hispalense 210, 1986.)。28 -
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