鹿島美術研究 年報第7号
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注*1874年,83歳のガルダは出身のイヴレア市に自分のプライベートコレクションを寄文化美術に対する関心は非常に高まっている。よってイタリアという美術の伝統の高い国において,東洋美術館は資料を十分準備し,展示に工夫をしていくことは,東洋美術品を真に理解鑑賞する場として一層重要なことと思う。例えば漆器であれば,系統づけた整理展示の他に各種の技法を示す蒔絵その他の見本,制作過程のビデオ,漆器の使われた伝統や背景など十分な資料を収集提供することなど,漆を全く知らない人々へ漆を紹介する配慮など,又中国絵画パネル(所蔵30点のシリーズ)については,すでに調査したコモ市図書館蔵の細密画,そして,イタリア人ジュゼッペ・カスティリオーネ作と云われるベルリン美術館蔵の三点などとの比較調査をするなどして,そのルーツを探りたい。これはガルダが間接的にしたコレクションの元のルーツミッション会の東洋進出などと関係があると思われるのでこれは共同研究者館長と調査していく。贈表明,市はこれを受け1876年市立美術館とした。よって東洋美術コレクションが美術館の創立の基となっている。49 -

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