99番目の「l剌夙を吹く天使」に至るまで,これらほど直裁的ではないとしても,救済60, 66-67, 71, 76-77, 89, 94)。従って連作には,救済への垂範といった色合いが濃40),忍耐(第31,100),警戒(第51),慈愛(第32,45, 59)等々である。しかしこるのなら,必ずキリストの復活とも同じようになるからです。私たちの古い人がキリストとともに十字架につけられたのは,罪のからだが滅びて,私たちがもはやこれからは罪の奴隷でなくなるためであることを,私たちは知っています。死んでしまった者は,罪から解放されているのです。パウロは,復活と罪の赦しを説いているのであるが,このインプレーサも肉体の死と永遠の生を暗示しようとしているのである。第41のインプレーサにおいても,脱皮する蛇という伝統的な手法で再び新生が主題となっている。そしてこれら以外にも,第と復活に係わる主題は,連作の諸処に散りばめられている(第5,8-13, 27, 38, 49, 厚であるが,作者はこの命題に関して,信仰と恩寵を強調することによって改革派の信条を明瞭に表明している。モントネーは,伝統的な美徳と悪徳の寓意に係わる主題も多く取り入れていた。傲慢(第22,26, 87),貪欲(第27,49),偽善(第25),忘恩(第75),そして節制(第れらのインプレーサに付されたイマージュは,民衆版画に見られるような素朴で活き活きとした魅力を発揮しながら,伝統の枠組を自在に超えている。また,銘文の幾つかは新約とパウロの書筒からの引用であるが,第93のインプレーサにおいて,作者はを唯一の啓示と見倣すことを断固として拒絶しているのである。しかしながら,モントネーの『百寓意図集』には,改革派の思想や信条が映し出されているばかりではない。連作の最後には,読者に対してスフィンクス流の「謎」Aenigmeが提出されている。謎の人物は肥満し,裕幅でありながら貪欲であり,ペストを伝染させ,あらゆる悪の根源として紹介される。この人物,「聖衣を纏った麗しきクリスティーヌの妹」がく反キリスト〉としてのローマ教皇であることは明白であろう。<彼女〉はさらに,「光を厭い,友なるプルートスの肩に憩う」とも述べられている。第21のインプレーサでは,壁に開いた穴から先端に手首の付いた竿を通し,戸外からこれを操って部屋に灯された蛾燭の火を消そうとするミミズクが表されているのであるが,ここでは,反キリストであるローマ教皇(ミミズク)が,手首(フランス国王)を操ってプロテスタントの灯を絶やそうと目論んでいるのである。この連作は,当時の政治-236-
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