2.カラジャ・エレン島1)聖堂(平面図4)し‘゜7)その他の建築物が石積みであったようだが,北と東は崩壊していてアプスなどの位置も確認しがた5)の小堂の東には倉庫らしい建物がある。長方形で,短辺のみに小さい入口がある。島の中央部の北側斜面に,東西約33メートル,南北約6メートルの大きな貯水槽がある。南側は岩盤の掘り抜き,北,西,東は厚い石積みの壁で,もとは全体にヴォールトがかかっていたらしいが,すべて崩壊している。壁の内面には漆喰が塗られている。島の中央から東の北側斜面には,水際に至るまで,非常に多くの小規模な建築の遣構がある。また,島の全域にわたって,大はヴォールト天井の上部構造を持つものから小は岩に墓穴を掘り抜いただけのものまで,無数の墳墓が点在している。この島は直径200メートルほどのほぼ円形の小島で,ゲミレルの南方約1.5キロメートル,本土から延びる半島からは約200メートルのところに位置する。の北側の岸から中央の小高い丘に向かって,道路や石段が部分的に残っている。丘への登り口の右手に,インスクリプションを刻んだ自然石が見られる。丘の上に聖堂を中心とした建築集合やいくつかの墳墓がある。広い聖堂と狭い聖堂とが並んで建ち,その北と南に隣接して長方形の部屋か並ぶ。広い聖堂は主アプスと左右の副アプスを持つ。主アプスの地面(1)からはクリーニングによりシンスロノンが現れた。また南の副アプス付近(2)には幾付学文様の舗床モザイクが見られた。舗床モザイクは,身廊中央部(3)からも発見された。聖堂西側は破壊が激しいが,ナルテックスとその中央の入口の基礎が確認できる。狭い聖堂では,アプスの南側の壁(4)に聖人像らしいフレスコ画がある。この他に,このふたつの聖堂の壁面には,断片的ながら広範囲にフレスコの痕跡が見られる。聖堂東側,アプスの背後には石積みの壁が狭い周廊を作っている。聖堂全体の西には,(5)の地点に貯水槽があり,そのさらに西に別の建築物がある。この部分がアトリウムとなっていたかはどうか確認できなかった。-269-
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