鹿島美術研究 年報第8号
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⑥ プラジル先史岩面画の様式分析と年代決定研究研究者:嗚門教育大学講師小川研究報昨年度7月から8月にかけて1カ月間予備調査として,ブラジルのおもに2地域,サン・ライムンド・ノナト地域とマト・グロッソ地域の先史岩面画を概観したが,その結果,本年度はピアウイ州南部のサン・ライムンド・ノナト地域に重点をしぼって調査・研究することにした。この地域の先史岩面画はその存在の第一報が1963年に当時サンパウロ大学パウリスタ博物館に考古学者として勤務していたギドン教授にもたらされた。その後1970年にようやく1週間にわたり4遺跡において第1次の現地調査が行われ,以後毎年のように調査・研究が実施された。1975年に最初の報告書が刊行されて以来,単に美術史・考古学の分野にかぎらない幅広い研究者の参加を得て広範な調査・研究とその成果の公刊が行われてきた。1986年にはギドン教授を中心に研究所・博物館が設立され,国際的な研究者も参加してさらに広がりと深みを持った研究が進められている。私は昨年度,大阪大学名腎教授木村重信先生と研究所・博物館を訪れ,ギドン教授との共同研究の可能性を探った。本年度,私の申し入れによりギドン教授は私を客員研究員として受け入れ,研究所・博物館の設備と蓄禎された研究資料の自由な活用を許可した。私は,研究査料を検討し,研究テーマに沿った重要な遺跡を重点的に調査・研究することとした。今年度私が訪れたのは以下の15遺跡にのはる。そのうち◎印を付した8遺跡は今年度はじめて赴いた遺跡である。◎トカ・ド・シテイオ・ド・メイオ(略称・メイオ)◎ l、カ・ド・ボケイロン・ド・シテイオ・ダ・ペドラ・フラーダ(略称•P.F)◎トカ・ダ・バイション・ド・ペルナI(略称・ペルナI)◎トカ・ダ・バイション・ド・ペルナII(略称ペルナII)Rトカ・ダ・バイション・ド・ペルナIII(略称ペルナIII)◎トカ・ダ・バイション・ド・ペルナw(略称ペルナN)◎トカ・ド・シケシケ・ド・ペルナ(略称・シケシケ)●トカ・ド・アラポア・ド・ペルナ(略称・アラポア)勝-273-

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