鹿島美術研究 年報第8号
307/364

●トカ・ド・パジャウ(略称・パジャウー)◎トカ・ド・パラグァイヨー(略称・パラグァイヨ◎トカ・ダ・エントラーダ・ド・バイション・ダ・ヴァカ(略称・ヴァカ)●トカ・ド・バロ(略称・バロ)●トカ・ド・バイション・ダス・ムイェーレスI(略称・ムイェーレスI)Rトカ・ド・バイション・ダス・ムイェーレスII(略称・ムイェーレスII)Rトカ・ド・インヴェンソン(略称・インヴェンソン)各遺跡ではほぼ同様の調査・研究方法をとった。研究テーマの先史岩面画の様式分析と年代決定は現地調査においてのみ結果の出せる問題ではない。実地調査・研究を終えた後に研究室で作業を積み重ねなければならず,そのためにできるだけ客観的なデータを収集する必要がある。今年度はスライドフィルムによるスチール写真のアナログ的な記録のみならず,ヴィデオカメラによりデジタル的に作品を記録することも行った。これは後述の画像情報処理のための資料となるものであるが,さらに,ムービーによる記録として,作品だけではなくそれを取り巻く空間の分析にも利用できる資料である。サン・ライムンド・ノナト地域の先史岩面画はギドン教授などにより,すでに様式分析・年代決定の研究の対象となっている。年代決定については放射性炭素法により作品と関係のある年代として,例えばメイオ遺跡の14,300土400B.P.というきわめて古い絶対年代がでている。放射性炭素法については,今年度は費用の関係もあり新たなデータを入手することができなかったが,これまでギドン教授が得たデータを基礎資料として活用することができる。ギドン教授はそれに様式分析研究の結果を加えて,サン・ライムンド・ノナト地域の先史岩面画の様式展開についての仮説を提出している。ここでそれを詳しく検討することは割愛するが,研究所・博物館でその研究を概観したところ,さらに研究を行う余地があると判断した。期間が限られていたこともあり,ギドン教授の図式のうち,この地域の先史岩面画を代表する作品群であるセラ・テリャーダ様式作品のある遺跡(メイオ遣跡など)を集中して調査・研究することにした。セラ・テリャーダ様式はノルデステ文化の中のヴァルゼア・グランデ地方文化に属するとギドン教授は考えているが,同じ地方文化に属するとされるセラ・ダ・カピヴ-274

元のページ  ../index.html#307

このブックを見る