4.おわりにを得た企画である。そこで,関係諸機関と協議の結果,財団法人文化財虫害研究所と東京国立文化財研究所が中心となって,第2回ICBCP組織委員会を発足させることになった。同組織委員会は,第2回ICBCPに世界の高温多湿な環境条件の国々及び各種の文化財の生物劣化が発生している可能な限り多くの国からの参加と我が国関係機関の支援を得て,文化財保存科学の分野の今後の交流と発展に貢献する会議とするべく準備を開始した。筆者は,第9回ICOM-CC終了後,第2回ICBCPで取り上げる課題の打合せとこの分野の研究者リストを作成するために,オランダ国立中央研究所ホッフエン・ド・グラーブ博士と修復コンサルタントのアントニア・バッケニスト女史,ベルギー王立文化財研究所リリアン・マスクリン・クライナー所長,大英博物館保存科学部のオディ部長とビンセント・ダニエル博士,ビクトリア&アルバート博物館保存科学部主任グラハム・マーチン氏,ループル博物館保存科学部クリスチャン・ラーニエ博士,フランス歴史記念物研究所ステファナジ博士とジャトン博士,フランス文献査料保存研究所のフランシス・フリーダー所長,イタリア書籍病理研究所のファウスタ・ガロ博士,イタリア文化財中央修復研究所のジャコビーニ博士等と面談し,各国での緊急を要する研究課題,研究者リスト等第2回ICBCP組織委員会の今後の活動に有益な知見が得られた。鹿島美術財団の援助によって,第9回ICOM-CCに参加してフォクシングに関する研究を発表する機会を得た。さらに,平成4年(1992)に我が国で開催を予定している第2回ICBCPを参加者に知らせかつ文化財生物劣化研究の世界の動向を知るよい機会となった。同会議の後,ヨーロッパ5か国の文化財保存科学の研究機関10か所を訪れ,第2回ICBCPを開催するための予備調査を行なって連絡を密にすることができた。ここに深甚の謝意を表する次第である。-281-
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