(3) 15■16世紀を埋める有年記資料としての連歌懐紙(4) 宗達へのつながりと断絶抄」へ「応永30年熱田法楽百韻懐紙」(1423)「永享9年北野社万句法楽懐紙」(1437)能阿弥筆「集百句之連歌」(文明元年)「元亀2年大原野十花千句懐紙」(1571)花弁雑画巻と金銀泥摺絵④ 「ジョットの芸術」報告者:東京芸術大学美術学部教授佐々木英也概要:ット藝術の特質を可能な限り明らかにすべく努めた。本日は「羊飼のもとに赴くヨアキム」を例として,その一端を述べる。作者の独自性はまず,主題の選択の仕方にある。ともすれば見過されそうなマリア伝テキストの立てているからである。しかも作者は物語全体の流れを考慮し,前後の場面との動作の連関を求めている。こうしたドラマの展開に関するジョットの発想や方式は,各場面を個別的に完結させ同時的に並列させるこれまでのモニュメンタルな壁画連作の伝統から脱したものであり,しかもここでは人物と背景の統一的な把握を目指し,俯瞭的視点と水平的視点との一元化が計られている。他方,物の存在感や質感あるいは光の反映に対する鋭い意識のもと(光はここで建物の窓からの光に合わせ一方向から射している),いうなれば触覚値の体系もしくは明暗の体系も初めて明確に樹立されるにキリスト伝」「チマブーエからジョットヘ」「ヴァザー章の「聖母マリア伝」であり,その十二面のフレスコ壁画について,テキスト,デスクリプション,イコノに1つのテーマを見出し,これを劇的内容豊かな,かつて例のない表現に仕このたび鹿島美術財団より出版助成金を仰ぎ,『ジョットの藝術』を刊行することができた。本書は「序説」「スクロヴェーニ礼拝堂の聖母マリア伝」「ジョットのリのジョット伝註解」の5章から成るが,中心は第2グラフィー,問題と意義の四節に分けて検討し,ジョ-17-
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