生のその後の活動の一端を知らせる校友会月報,当時の京都の新聞『日出新聞』などを渉猟しているが,残念ながら全足どりをつかむに至っていない。これらの課題に関しては,今後も引き続き調査していきたいと思う。以上,2年間に亘る調査の後半の概略を述べたが,解明できないことのみ多く,研究課題の初歩的な基礎研究に終始してしまったことを深く反省している。しかし本調査は,はなはだ不完全ながら,今後も調査を継続することにより,単に一画家の画業解明という意義にとどまらず,明治期前半の美術界の動きを線で結ぶー資料をつくる作業になるのではないかと考えられる。最後に,紙面を拝借して,本調査・研究の機会を与えて下さった鹿島美術財団の会長様はじめ関係の皆様,および繁忙な仕事の合間に調査にご協力,ご示教いただいた東京国立博物館絵画室,奈良国立博物館美術室及び諸社寺の各諸氏に対し,心よりく御礼申し上げる次第である。-297-
元のページ ../index.html#332