と思われる。③ ダリにおけるフリーメーソンのイメージとその歴史的源研究者:トキワ松学園女子短期大学非常勤講師新関公子研究目的:ダリの研究にフリーメーソンについての教養が必要とは当初思ってもみなかった。しかし,いったんその観点を持つと,フリーメーソンをはじめとする神秘主義は西欧文化の底流として,いつの時代にも一定の影聾力を持っていたことに気づく。文学ではゲーテ,トルストイ,トーマス・マンか,音楽ではモーツァルトがフリーメーソンを主要な作品のテーマとして扱っているので,両分野ではフリーメーソン研究もさほどタブー視されてはいないかに見える。当然,美術作品にも影靱を及ぼした時代思想と思われるが,美術史学では何故か見るべき研究がなされていない。ダリと18,19世紀のロマン主義的絵画を並行して研究することにより,近代美術史にも,した,フリーメーソンをはじめとする神秘主義の象徴的表現様式が存在することを論証し,新たな研究視点を提示することが目的である。④ パルテノン時代の葬礼美術研究者:跡見学園女子大学文学部教授福部信敏研究目的:申請者はギリシアの葬礼美術に関して,これといった論文を発表しているわけではない。「業績欄」で触れた『ギリシア美術紀行』に感想を書いた程度である(224■248頁)。しかし,常に関心を抱き続けてきた。ギリシアの葬礼美術に関して数多くの研究を発表された澤柳大五郎氏の『アッティカの墓碑』が平成元年に刊行され,たまたまその「書評」を書くことになった(添付賓料③)。氏の研究をささやかながら受け継いでいくのも申請者の役目であろうと,おこがましくも思い続けている。氏は「アッティカの墓碑」そのものの研究を発表されたわけで,「再開時」の問題や,「アッティカの墓碑」以外の墓碑に関しては参考程度に触れているだけである。ギリシアの葬礼美術のテーマは無論無数にある。これからそれらを一つ一つ埋めていくことか,日本におけるギリシア美術の研究にとって有意義なことと考えている。-59 -
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