② エミリア地方およびヴェネト地方におけるロマネスク彫刻研究者:京都大学教養部助教授岡田温司研究報告:このたび鹿島美術財団の調査研究助成を仰いで,イタリアのエミリア地方およびヴェネト地方のロマネスク彫刻を現地で調査する機会を得た。イタリア・ロマネスク彫刻は,その量的・質的な豊かさと歴史的な重要性にもかかわらず,これまでわが国で研究され論じられる機会は比較的少なかったように思われる。それゆえこの度の調査研究では,ヴィリジェルモ(ヴィリジェルムス)とニッコロ(ニコラウス)という,固有名詞の伝わる二人の代表的な彫刻家とその工房の作品をとりあげ,その一部を写真におさめるとともに,これまでに出版された基本的な文献資料を収集することをその主たる目的とした。実際に調査の対象となったのは次の教会堂の彫刻作品群である。モデナのドゥオーモ,ノナントラ修道院,ピアチェンツァのドゥオーモおよびサンテウフェーミア聖堂,ヴェローナのドゥオーモおよびサン・ゼーノ聖堂,そしてフェルラーラのドゥオーモである。なお,モデナのドゥオーモの「王子たちの門」(Portale
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