鹿島美術研究 年報第9号
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は狩野左京系の絵師による。和歌は新古今集から4首,風雅集から2首,和漢朗詠集から1首,更に漢詩か引用される。③菊花図屏風二flh一隻紙本金地著色仙台市博物館所蔵②と同様に若林城の遺品と考えられる。画面上部の金地の部分に1首ずつの和歌がき込まれ,ー文字が胡粉を盛り上げた菊花にかかる。和歌はいずれも新古今集から。④菊花図屏風二曲一隻紙本金地著色仙台市博物館所蔵②③と同様,若林城の遺品と考えられる。画面上部の金地の部分に1首ずつの和歌が記される。1首は新古今集から。他の1首の出典は未詳。⑤松之図一幅紙本著色仙台市党範寺所蔵本紙縦48.9cm,横140.3cmの画面一杯に松林が描かれる。かなり褪色しているが,元来は松の緑と松樹に這う闘の赤が対照的に描かれた鮮やかな画面であったろう。画面右上部から左方にかけて和歌が記され,松業と松葉との間,色付いた認葉が松樹の幹を這うところに,和歌の語句「つた」が記入される。和歌は,新古今集から2口9拾追艇・拾遺愚草から各1首か引用され,出典未詳の和歌か2口0⑥扇面一点紙本金地著色東京都個人所蔵表側には金泥で秋草を描き,その上に拾遺集の和歌1首を書き込み,裏面には梅樹と春野らしい緑の大地を描く。⑦扇面一点紙本金砂子地著色東京都個人所蔵表側には古今集の和歌2首が記され,裏而は白い花をつけた樹木と,出典未詳の和⑧扇面一点紙本金地著色仙台市博物館所蔵表側に金銀泥を使い,雲や山や水,松樹を描き,新古今集の和歌5首,更に古今集・後撰集・金葉集・千載集・風雅集・和漢朗詠集・壬生集・謡曲「草子洗」などから総⑨扇面一点紙本金地仙台市博物館所蔵表側に金泥で撫子の咲き乱れる野の風景を描き,その上に新古今集の和歌1首をき込む。裏面には秋野の風景が金泥で描かれる。⑩古歌並詞書一巻紙本墨書仙台市博物館所蔵伊勢物語や源氏物語の詞書の部分とその中に収録されている和歌や勅撰集,私家集などから16首の和歌を抽出し,その内容に合った花などを金銀泥で描いたところに,歌1首が記される。計16首の和歌が記される。裏面は金地に桜樹が抽かれる。93

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