794年フランクフルト公会議で異端とされたキリスト猶子説への反論として解釈されての11使徒は,マタイ伝28章16節以下にあるように使徒たちの教えが天地の全てのカ代の再生が初期キリスト教時代の作品の修復と関わっていたことは十分想像される。このモザイクの図像については,変容はキリストの神性の証とみなされ,ニカエア公会議の決議の言葉を引用した大レオの説教「ロゴスの受肉はマリアを通じて聖霊によってなされ,タボル山での変容はキリストが神の子で,天から送られてきたことをる。彼らは十字架の印で得られた勝利の世界救済の力を保証する」を想起させリストの神性と人性の位格的結合の神秘とその救済の力の表明とみなされる。だがアーチの三主題に質的な相違が指摘され,カロリング朝のアインハルトの凱旋門との関係を天使と洗礼者ヨハネの類比から説明したり6),8世紀末スペインで生まれ,いる7)。特定の時代的状況と図像が結びついてることは十分予想される。この異端に対する態度は,ニカエアからカルケドンの公会議のキリストの位格をめぐる論争でロマ教皇か主張し続けてきたものであった。これは431年のエフェソスの公会議の決議,マリアの神性と受肉の秘蹟を表明するのに用いられてきた伝統的な図像である。だがここでは聖母はそれまでの教皇が好んだ冠をかぶった,宮廷服の女王でなく,伝統的なタイプであることに注目したい。レオ3世によるもうひとつの興味深い作品は,ラテラノ宮のレオの会催(会議堂)の素描(ウゴニオ,Vat.Barb. lat. 2160)である。アプシスの中央のキリストと左右を与えられたキリストの教えであることを示す。下の銘文にはペトロ・教会のもとで,地上の平和のために教皇と王が一致して力を尽くす願いか読み取れる。アプシスの上の右には,1625年の修復当時,rexと記されたシャルルとレオ3抵にペテロが各々のカの印を授与する場面が残され,それを踏まえて左の,キリストか教皇シルヴェステル1世(315-35)とコンスタンティヌス大帝を叙任する場面が復元された叫ハドリアヌス以前のサンタ・マリア・アンティークァ聖堂の歴代の教皇が保護を願って奉納した壁画では,女王・聖母とともに自らを描かせる例か少なくない。聖母はキリストの花嫁として教会を意味し,女王聖母の面像はローマ教皇を保護し,教会の勝利を表明するものとして,専ら西方で好まれた。レオ3世とパスカリス1世のモザイクでは,聖母は伝統的な被り物と青い衣で表わされている。会議堂のアプシスの図像は,ペトロをはじめとする使徒に与えられた教えかキリストの教えであること,そる5)。十字架,変容,聖告,聖母子像はすべてこの説教で述べられた主旨に対応し,キ103-
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