件近くある。ちなみに,その8割以上は個人のコレクションの売立てで,残りは,美術商が各地から集めたオムニバス形式の売立てである),今回はその3分の1程度を調べるに止どまった。したがって,今回の調査では17世紀フランドル・オランダ絵画の流入・流通の詳細なデータ作成までにはいかなかったが,しかしそれでも,18世紀パリでの大きな売立てを集中的に調査したこともあり,フランドル・オランダ絵画趣味の実態の輪郭は掴むことができたし,またそこからいくつかの新しい知見を得ることもできた。以下,紙面の制限もあるので簡単に,タブローが100点以上含まれ,またその内容も充実した名高い売立てを何件か年代順にピックアップし,そこでの17世紀フランドル・オランダ絵画の占有率を示し,「フランドル趣味」の浸透について確認してみたい。ちなみに,タブローが100点以上占めている売立ては全体の1割強である。次のリストは,最初にコレクターあるいは画商の名前,続いて,売立ての年,フランドル・オランダ絵画(タブロー)の売立て点数に対する割合,全体の点数,イタリア派とフランス派の割合という順序で書かれている。なお,クロザを除いて,タブロ一の点数はコレクションの場合その全体のものではないことは当然で,数字は売立てに出されたタプローの点数であり,実際のコレクションの点数はもっと多いはずである。また,点数として挙げる数字は売立て目録の番号に基づいており,ひとつの番号の下に数点のタプローが含まれることがあるわけだから,売立てに出された作品の数はもう少し多い。目録にはどの流派の作品かを確定できないものもあるので,そこでのフランドル・オランダ派のタブローの率はもう少し上がる。また,17世紀以外の画家の作品もここに含めているが,それらの点数は少なく数字の変動は少ない。は,相続人に譲渡され売立てに出されていない。)(ストゥフマンの研究による)1 ピエール・クロザ(-)23% (476点)(65%, 7 %)(クロザの所有したタブロー2 ド・ラ・ロック(45年)53%(247点)(8%, 21%) 3 タラール公爵(56年)15%(184点)(66%, 10%) 4 ハイネッケン男爵(57年)57%(276点)(30%, 16%) 5 ヴァンス伯爵(60年)79%(153点)(6 %, 15%) 6 ジャン=フランソワ・ド・トロワ(64年)23%(197点)(16%, 46%) 7 ジャン・ド・ジュリエンヌ(67年)38%(320点)(26%, 32%) 8 ジョセフ・アヴェ(66年)51%(180点)(8 %, 29%) 9 ラ・リヴ・ド・ジュリ(69年)17%(128点)(3 %, 79%) 118
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