ランドル趣味」が色濃いことも注目される。この18世紀フランスの画家たちの「フランドル趣味」は,世紀後半しだいに顕著になってい〈同時代フランス絵画収集熱と密接な関係を持っていることを予想させるし,それは調査を続けていけば明らかになっていくように思われる。さらに,今回の売立て目録の調査は,18世紀のパリの美術市場の実態とそれが醸成していく絵画意識の輪郭を浮かび上からせたし,また,ルブラン(14)を始めとする美術商たちの18世紀フランスにおける文化的,美学的役割の重要性をいっそうはっきりさせることにもなった。このように,フランドル・オランダ絵画のコレクション研究は,18世紀フランスの「美術の問題」の本質に触れるさまざまな問題を含むものであるが,今後もこの調査を継続し完全なデータ作成を目指したい。その結果はできるだけ早い時期に発表する予定である。-120
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