鹿島美術研究 年報第9号
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またこの際,中世の羅漢像が禅宗の盛行とともに,宗元絵画の影籾を受けて多種多様に展開するなかで,この鶴林寺本が長舟寺・法隆寺両本等とともに平安時代の聖衆来迎寺旧蔵本の系統をついでいることによって,これが天台宗では重要視された図様であったことが推察できる点も特記されよう。以上,多くの課題を残しながらではあるが,ひとまず本研究における現段階の区切りとしてみたい。なお末筆ながら,調査の度大へんお世話になり,ご教示を賜った鶴林寺住職の吉田亨盛先生に心より感謝申しあげます。130

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