物誌』にない大坂独自の項目であり,町人・武士などの身分階層を越えて精神的紐帯を結んだ大坂知識人社会の特質を象徴する。柳澤洪園や桑山玉洲,浦上玉堂,田能村竹田など各地の文人画家も大坂を訪れ活動の場としたか,今後,籠段堂周辺の画家たちの基礎的な伝記・作品を再検討するとともに,文人画の背景をなすものとして,広範な分野の「聞人」たちの交流に支えられた近世大坂知識人社会のあり方についても考察を進めたい。-143-
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