—武術秘伝書の料紙装飾を中心として⑮ 近世の金銀泥絵に関する調査研究1 ■ 2 極意長筒3 4 ■ 5 異風櫓梢6 ■ 7 中筒櫓梢8■12 眼智集第一〜五13■17 細中集第一〜五18■22 妙求集第一〜五23■25 連玉集上中下26 27 28■37 十鏡之図第一〜十研究者:東京国立博物館学芸部美術課絵画室長松原書の料紙装飾としての金銀泥絵は,平安時代以来遺品も多いが,従来,絵画史の立場からの本格的な研究の対象からははずされていた。ところが,近年,ことに中世の金銀泥絵についての研究発表が相次ぎ,様式の展開や,和歌との関係,あるいは四季絵の伝統,筆者など,興味ある問題がとり上げられて,この分野にさまざまな角度から光があてられるようになった。しかしなから,近世の金銀泥絵については未開拓の部分が多い。そこで,制作年の明らかなものを中心にできるだけ多くの作品を調査し,それらの特質を抽出した上で,近世の金銀泥絵の様式の変遷をたどろうと試みた。調査は,中世末の連歌懐紙(天文〜天正年間,京都・ニ尊院,勝持寺ほか)から始め,元禄14年(1701)の年記を有する「元興寺極楽坊縁起」(奈良・元興寺蔵)の詞書料紙に及んだが,様式の変遷を跡付けるに足るほど大量:の作品を調査することができなかった。ここでは,調査し得た作品の中から,とくに重要と思われる「妙求集(仮題)」と「稲富流鉄砲伝書」について紹介し,研究の中間報告としたい。「妙求集」(37冊)は,明治11年(1878)に帝国博物館が購入し,現在東京国立博物館資料部に保管される鉄砲の秘伝書である。内訳はつぎの通り。家宝不伝集星中集近理集鉄砲の筒の長さと射程距離および射角の換算表,火薬の調合法,構え方など内容は茂-246-
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