め,データをカード化することとした。史料収集とその分析に当たって,次のような原則を立てた。障壁画史料を収集する。興味深いと思われる画中画のみを,恣意的に取り出すことは避ける。また,屏風絵や衝立絵も含めて史料収集を行なう。どのような情景が描かれているかを理解するためだが,実際には,詞書の内容と絵の内容が食い違っていることか多い。その場合には,両者を無理に合致させようとせず,食い違いを明確にしておく。描かれた建物は,詞書に記された建物の状況と一致しているか,一致していないか,また構造的に矛盾はないか,などの諸点を詳しく検討する。るか,その位置と滋味を検討するため,可能な範囲で平面図を作成する。杉戸・屏風以上の原則に則り,今回は,中央公論杜の『紬日本絵巻大成』から「春日権現験記絵巻」および「法然上人伝絵」を取り上げて,史料収集を行なった。具体的には,画中障壁圃か描かれた部分を撮影し,焼付写真をカードに貼り,データ(整理番号・を書き入れ,また作成した平面図をカードに貼る。こうした一連の作業により,画中画の両面の様相と,それをめぐるさまざまな情報をまとめて見られるカードを作成した。そして,それらを見ながら共同で画中障壁画を分析し,滋見交換を行なった。この画中障壁画史料の収集作業は現在もなお継続中であり,また,その成果をまとめる段階に至っていない。ただ「春日櫂現験記絵巻」の圃中障壁画に関しては,いくつか気付いた点があるので,次にそれを記す。①上屈の公家住宅には,著色の障壁画が描かれる。一部に白揺圃もあるか,水墨画は見られない。②上屈の僧侶住宅には,著色の障壁画が全く見られず,水墨山水圃が揺かれる。③その他の住宅には,欅文などの唐紙障子しか描かれていない。この3点から考えると,当時,住宅の種類や身分[ 2]圃中障壁画が描かれた場面について,詞書と絵を照合する。これは,その場面に[ 4]圃I中障壁画か,絵の中では,どのような建物の,どのような部分に嵌められていフィルム番号・作品名・巻段・場面説明・画中障壁圃の形状•その技法•その圃題)[ 1]史料収集を行なうことが決定した絵巻作品からは,そこに描かれたすべての画中[ 3]圃中障壁画か見られる建物の種類や構造について,建築的な検討を加える。絵に[ 5]圃中障壁圃の建具等の種類を,可能な範囲で記す。つまり,障子・衝立・掛幅・[ 6]圃中障壁圃の技法についても,可能な範団で記す。つまり,著色・水晟・唐紙,263
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