鹿島美術研究 年報第9号
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(3) 海外派遣① アール。デコ様式の漆芸における日仏関係の研究研究者:東京家政学院大学教授森島短い滞仏期間を考慮して研究の対象を狭く限定し,資料の蒐集を主たる目的とした。そのために複数の文献から最も高い頻度で論じられている四人の漆芸家を選び,その人たちの業績を追うこととした。その結果JeanDunand, Eileen Gray,スガワラ,濱中勝について次のような調査をした。①実作品および下図などの観察と写真撮影②当時の新聞雑誌の複写および写真撮影③作家の家族の手許にある資料の入手④現在出版されつつある関係図書の収集上記の事項については不充分ながらそれぞれを実行することができた。GrayとDunandがスガワラから漆芸技法を学んだ時期に書いた技法ノートが英国の文書館とフランスの0略歴で彫金を学んだ後にパリに出る。彫刻家のDamptの下で修業。dinanderie(真鍮加工)を得意とした。品。以後継続。家具の製作をする。の喫煙室》を全て黒漆で装飾。Dunandの子息の家に残されていて,それらを全頁撮影できたのは幸運であったと思う。1877 スイスのLaneyに生れる。ジュネーヴの工芸学校(L'Ecoledes arts Industriels) 1904 彫刻家,真鍮工芸家としてSalonde la Societe Nationale des Beaux-Artsに出1912 日本人のエ匠スガワラに漆芸を習う。以後漆による東洋趣味の巨大な装飾パネルや1925 L'Exposition des arts decoratifs et Industriels展のパビリオン《フランス大使館1928 客船Ilede Franceの遊戯室の装飾。1931 客船Atlantiqueの食堂の装飾。植民地博覧会で植民地美術館を黒漆と銀で装飾。勇〔JeanDunand〕け877■1942)-274-

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