ォーマットを確定した。作業の進捗にともない,報告者の手書きによる調書ができていったが,これを日中の空き時間及び美術館退館後,夜ホテルにおいて入力した。その作業は,そうした方面にかなりの経験を持つ報告者であっても,相当な時間を要し,修正を含めて今回の派遣期間中最も大きな作業絨を要求されたものであった。これについての直接の問題は,通常日本美術研究者の調書は個人的な研究目的で記述されるため,そのままではデータベースの形式にはふさわしくない。かと言って,無機質なデータベースであっては,この事業の最後にボストン美術館が出版を予定しているカタログにふさわしい内容のデータとはならない。未紹介の作品であれば,その図様と様式判断を筒潔明瞭に記述しなければならない。そのため,そういう点を謡識して日中記録してきた調書であっても,データとして入力する際には,記述に更に推敲を重ねざるを得なかった。もとより,これは件数が増えて,,I貫れてきた段階ではいくらかスピードアップしてきた。ただ,今後の課姐でもあるが,この事業に参画する日本人研究者の方々が相当注揺していただかねばならない点であろう。最終的に,ボストンを離れる前にすべての調書の入力を終えたかったか,最後の週は美術館スタッフの使用のために,コンピューターのメニューの作成や,種々のアプリケーションプログラムの手直しや,担当スタッフヘのレッスンに終始し,未入力のタを持っで帰国することになり,本報告執筆中の今日ようやく入力修正が完了し,美術館にフロッピーで送付した。データは未だ美術館所蔵仏画の半数に及ばない作品のものだか,コンピューター上のファイルサイズとしては,かなり大きなものとなった。それは,一点の作品について日本語英語双方の記述が入り,かつ所見を文章の形で記録するため,どうしても規模の大きなファイルとならざるを得ない。これをよりコンパクトな形にしたり,シンプルなソフトウェア上で動かすようにすることは可能ではあるが,多くの目的に使用すること,汎用性の高いデータにすること,アメリカ人になじみやすいプログラムであることなどから,こうした形をとったわけである。いずれにせよ,まだ現段階では試用版だと割り切って考えており,今後に他のジャンルのデータ入力が予定されているだけに,逐次検討して改良していくべきだし,そうでなければ有効性が少ないと報告者も美術館側も考えている。なお,データベースの内容やその一部のサンプルについては,美術館側からの報告-285-
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