鹿島美術研究 年報第9号
309/428

と連係をとりようがなく,単にオブザーバーとして助言するしかないであろう。望むらくは,誰か責任を持って,本プロジェクトの中でこのデータベース作成について日本側で一貰して協力できる研究者を決め,その協力に必要な費用や派遣(ここ二三年は毎年一回は現地で協議指導する必要があろう)について賞財団が考慮していただければ,何よりかと考える。もちろん,その候補者は報告者須藤の他に多数あげられよう。美術館側の予算策定とも絡んで困難な問題もあるように思われるが(実際,そうした費用は美術館では当初全く想定していなかったようである),本事業の中核は調査そのものにあっても,最終目標がデータベースの完成とその刊行にある以上,調査する研究者だけでなく,データベース化の協力者が不可欠で,それも善意の協力を期待するのでなく,きちんとした依頼システムを策定していただきたいと希望する。このボストン美術館日本美術賢料データベースは、同館が構想して既に一部作成しつつある美術館の全作品賢料データベースの一拠をになうものだが,そうしたボストン美術館内の用途(既に多くの利用パターンが想定されていて,報告者はスタッフから要望を聞いている)にとどまらず,これが東文研を中心に構想されている,在外日本美術データベースともリンクする。また,作品の図像様式についての記述も盛り込まれていて,これが母胎となって日英双方の言語で公刊されることも最初から予定されている。その場合,質齢ともに国外最大の日本美術コレクションの全貌が公開されるわけで,その恩恵ははかりしれない。3 本データベースの可能性287-

元のページ  ../index.html#309

このブックを見る