鹿島美術研究 年報第9号
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0プラハ国立美術館図書館books)とされていた書庫のコーナーには,Picasso,Chagall等の背文字の本が見え4.プラハの美術図書館5.ワルシャワの美術情報センタ0全ソ国立外国文献図書館上記2館へは,美術図書館分科会として集団で訪問した。前者は,演劇史,演劇理論を中心とし,周辺の芸術文化関係を含め150万点を蔵する。服飾,舞台用小物などの立体資料のほか舞台写真等の膨大なコレクションをもつ。後者は全分野をカバーするが,芸術部門も充実している。1989年まで禁止本(bannedる。特に問題とならないようなカタログ類や研究書も検閲の対象となっていたことが分かり,グラスノスチの前とその後の変化をよく示す一例である。当然といえば当然であるが,これらの図書館はフランスやアメリカの美術図書館と基本的には同様のサービスを展開しており,国際的な連携についても開かれた体制にあることが確認できた。プラハでは下記の図書館を調査した。0国立博物館図書館0プラハ国立図書館写本・古刊本部0装飾美術館図書館これらでは,いずれもコンピュータは未導入であるが,カード目録の作成は極めて精緻である。とりわけ装飾美術館図書館は,論文単位の目録の充実,多方面からの検索を可能にした目録を蓄梢している。この図書館のサービスと目録作成のプロフェッショナルとしてのJarmila Okrouhlfkova女史の存在は高く評価されるであろう。こうした伝統的な資料・情報サービスを基盤としてもちながら,つい2ヶ月前からは関係8館の連絡組織としてのCouncilが発足した。当面のテーマは,目録の標準化とコンピュータの導入についての研究・協議である。当面事務局には,プラハ国立美術館図書館があたる。その責任者にIFLAや先進諸国のARLIS(美術図書館協会)の活動を紹介し,日本のアート・ドキュメンテーション研究会の動きを伝えた。この点に限っていえば我が国が一歩先を歩いているが,美術図書館の組織的な連携では相互に啓発しあえるよきパートナーと考えられるので,今後の情報交換を約したところである。-290

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