鹿島美術研究 年報第9号
315/428

② 中国夏商文化国際学術研討会後5月末出席申込み,6月末発表論文要旨郵送という準備段階を経,予定より一日遅廿—_iし,当日口頭発表する以外に,論文全文を予想されるi_―l}席者数分(200部であった)研究者:東海大学非常勤講師末房由美子中国夏商文化国際学術研討会は,1991年1月末,招請状発送をもって始動し,そのれた9月17日から22日までの6日間,中国河南省洛陽市洛陽友誼賓館で開催された。私も質重な機会を得ることかでき,これまでに鹿島美術財団による「美術に関する調査・研究の助成」を以て得られた研究成果の一部を発表することができた。発表論文題目は,「二里岡上屈期青銅大方鼎について一一悲ど飾怠匠と鋳造技術方面から」である。―"'岡上屈期は,殷代中期に相当する時期のうち,殷代後期即ち殷墟期に前接する時期である。)ただし,残念なことは,この発表論文に直接かかわる,即ち論文に引用させていただいた諸先生の御出席が全く無く,直に御謡見を賜ることかできなかった,点である。(会期I:l\ある共通した事↑打によるものであることを知らされた。)しかし,この、点は今後,個別的に交流することで袖うことかできよう。こうした状況はあったが,また思い掛無い方向から多くの知見を得ることができ,この学会に出席できたことは私の研究に大きなプラスとなった。初めに,このような機会を与えて下さいました鹿島美術財III及び関係各位に対し,心から感謝申し上げます。学会は出席者数約140名,そのうち外国人研究者は日本,カナダ,アメリカ,イギリス,イタリアから総勢24名ほどであった。ロかに時聞の都合で省略されたものが12篇ある。この学会では,発表者は予め要旨を提個人で用謡し,郵送ではなく持参して配布することが課せられている。従って手元には予定にあって発表を省略された分も加え,67篇分の論文全文が配布された。学会は,研究発表のはかに,遣跡見学,陳列館見学,ビデオテープによる映写があり,更に研究者同志の自由な交流が繰広げられ,1日交を暖め或いは新たな知已を得,滋見を交わしたり,教示を受ける光屎かあちこちで見られた。研究発表は,分科会は設けず,全員がすべての発表に立会う方式がとられた。発表は扱われている時期順に行われ,同じ時期の中ではテーマ別にまとめられている。時期は考古学的な時期区分の河南龍山文化期(新石器後期),二里頭文化期,二里岡文化期,殷墟期が扱われ,大きく前2時期(この時期は夏王朝の存在を議論する際の重要された研究論文は55篇である。は-293-

元のページ  ../index.html#315

このブックを見る