鹿島美術研究 年報第9号
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(5) 国際会議開催①国際美術史学会東京会議1991報告者:東京大学文学部教授高階秀爾国際美術史学会報告平成3年9月18日から3日間にわたって,上野の杜で『国際美術史学会東京会議1991』が,国際美術史学会と美術史学会の共同主催により開催された。今回の会議を主催した『国際美術史学会(Comiteinternational d'histoire de l'art,略称CIHA)』は,その起源は1873年にウィーンで開かれた美術史家たちの集まりにまでさかのぼる。それ以後,欧米の主要国の大学・美術館の美術史研究者,学芸員,研究所の研究員などから構成される国際的に唯一存在する美術史家の研究組織として,今日まで活発な活動を続けている。わが国は1964年のボンの大会に吉川逸治教授か招かれてから加入したが,現在CIHAに加入しているのは31カ国になっており,アルベール・シャトレ教授(ストラスブール大学)が会長を務める11名で構成される事務局本部が,学会の活動を運営している。づく会議を原則として開くことになっており,今回の東京会議は後者にあたるものである。もっとも,今回の会議は東洋で開催される初めてのCIHAの会議ということもあって,その内容や発表者を決めるにあたって,会議実行委員会(代表高階秀爾東京大学教授)で時間をかけで慎重な討議が重ねられたのである。ことに会議を日本美術の専門家のみの集まりにすべきではないという事務局本部の強い意向を受けて,西洋美術の研究者が日本美術の研究者とともに参加して,それぞれに刺激されながら有益な議論ができる場を作るよう工夫された。総合テーマとして,「美術史における日本と西洋」をかかげ,2日間の研究発表を3つのセクションに分けて,それぞれに個別の小テーマを設けて,発表とそれに続く討議を行なうことになったのである。3つのセクションの内容は次のとおりである。第ーセクション「直接交流と影粋」発表と討議(Comite International d'Histoire de I'art Tokyo Colloquium 1991) CIHAは4年毎に広範な内容にわたる大会を,その間の毎年1回,特定の主題に16世紀から現代にいたる日本と西洋の直接的な交流と影籾関係についての研究-296-

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