タリーナの祝日であったことから教会の守護聖人を聖カタリーナとしており,そのために下段中央には左手に聖書を持つ聖カタリーナ,左右それぞれ2面が聖カタリーナの殉教にいたる生涯の物語となっている。上段は傑刑のキリスト,聖霊の鳩と足下に聖母マリアと聖ヨハネを伴う。左右は天使。中央は聖母マリアの被昇天図となっている。まわりは今は白い漆喰になっているが,壁のここかしこ(写真3)には,金とこの土地独特の鉄分を含んだ赤い顔料,その他の色彩などで敷き詰められた装飾文様が残っており,当時かつては天井や壁一面に,これらの装飾文様が埋めつくされていたに違いない。そのことを想像するとその豪華絢爛さは息を飲むものがある。外の椰子樹と比べて如何な懸隔であろうか。当時のポルトガルが掛けた特用の莫大さの一端をかいまみる思いである。内に見られる絵画はエ期が長いこともあってか,ルネッサンス末の様式からマニエリスム,現地化した様式などさまざまであり,日本の洋風画と比べて興味は尽きない。なお2階部にギャラリーがあり,時代や様式もさまざまな絵画や彫刻を並べている。司教座聖堂に隣接して当教会と修道院がある。かつては大司教か居住していたところである。1517年8人のフランシスコ会修道士がゴアに来着,1521年に建てたものをエントランス部分だけ残して1661年にたてなおしたものである。当教会の正門(ファサードの門)周りの装飾はゴアで見られる唯一のマニュエル様式として有名。ファサードの上部壁紐には聖ミカエル像を安置している。当教会は司教座聖堂と同様バセインの石灰岩を使用。側廊はなく,身廊のそれぞれの側に3つの小礼拝堂(チャペル)があり,天井にはリブが走る。今はもう刹げかかっているが,フレスコで主教座聖堂と同様びっしりと花文を主とした装飾が空間恐怖のようにくまなく施されており,当時の華胴さか偲ばれる。(写真5)主祭燈には金鍍金を施してあり,中央の深くくりぬかれた寵には四人の福音書著者に担がれた聖櫃が安置される。寵の上には傑刊のキリストとアッシジの聖フランシスコ像,両像の下には聖フランシスコのたてた三つの翌,貧しさ・謙譲・従順が書かれる。主祭壇そばの身廊の両脇には聖フランシスコの生涯が揺かれている。当教会の2階は考古博物館(ArchaeologicalMuseum)になっており,やはりここでも現地人が揺いたとおぼしき初期洋風画風の作品や,おそらくゴアでは彼らの師で2. The Convent and Church of St. Francis of Assisi(写真4)-330-
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