鹿島美術研究 年報第9号
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おいて,いわばアットランダムに収集した民間所有の小石造品200点程の中にある数十点であって,その分布状況はかなりの道教諄像の普及度を示すものといってよいこと。第二に,なかに梁の天監年代(南朝,6世紀初)の作品を含んでおり,中国南北朝における南北文化論にも関係する重要問題を提起しうること,その図像か予想のごとく仏教尊像と深くかかわること。それらが道教諄像としての体裁を整えるのは北周から隋・唐にかけてであること,等を結論付けるに足る資料であるということであろう。なお中国に遺る石造遺品,特に四川省や山東省の道教関係遺跡の調査を経て,結論付けるべきものと思われ,今後そうした機会を得たいものと思う。その上で,まとまった図録等の出版を計画したいと考えている。-339-

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