3.ケース・スタディ1)裏打ち①P550-40TB*2のナフサで薄めた2%液を亀裂から擾透させ,HotAir Blowと指②JADE403*3を用いる方法。例:TerryWintersの混合技法による絵圃/自家製キ家はまず,画家の意図を深く理解し,素材についての情報も充分に得るべく努めねばならない。このような材料及び,技法を用いて制作された現代絵画の劣化症状は,古典技法で描かれた油彩画とは異なった症状を見せる。修復にあたっては,画家の意図した効果をそこなうことなく,作品に応じて個々の処置を行うことが基本とされる。現代絵画の修復はその歴史が浅いということもあり,最小限の処置をし,又,構造上欠陥がある場合は劣化を予防するための処置が進んで取入られている。ニューヨークで行われている現代絵画の修復例を次に示す。原則として,現代絵圃には裏打ちを行わない。裏打ちを行わねばならない場合は,除去可能なBEVA-371(合成樹脂)*1による裏打ちを行う。BEVA樹脂によりストリップライニングのみ行うケースが比較的多い。グッゲンハイム美術館では,コレクションのひとつであるレジェの作品(1913年作)を修復している最中であった。この絵は,従来用いられていたWAX樹脂による裏打ちがなされていた。これは,この美術館に収められる約30年i前に施された処であったか,作家の用いたグランド)村に炭酸カルシウムのような不活性物質が含まれていたため,WAX樹脂が浸透した際に全体がii揺れ色に変化し,圃調が歪められてしまったものである。美術館では,綿密な状態調査やテストを経た後,裏而からサクションテーブルを用いて,WAXを除去していた。2)剥落止め圧で固定する方法が一般的であった。例:AndyWarholのシルクスクリーン/アクリルキャンヴァスに対する処置。この絵は,WarholのFactoryにおける油性の黒インクを使ったシルクスクリーン印刷であるか,アクリルキャンヴァスとインクの間で固着力が弱まり,多数の細い亀裂が発生したものである。P5502 % 液は浸透性や固着力に優れ,絵具への含浸による影評を避けることができるため,この絵の剥落止めに適していた。ャンヴァスにおける絵具屈の浮き上がりに対する処置。この絵は,10年前に制作341
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