鹿島美術研究 年報第9号
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り91.平成3年度「美術に関する調査研究の助成」① 鹿子木孟郎とジャン=ポール・ローランス_鹿子木孟郎調査委員・第2次調査―研究者:三重県立美術館学芸員脆子木孟郎調査委員会(代表:河北倫明氏)は1985年に発足し高階秀爾氏,陰里鐵郎氏,酒井忠康氏を委員に,また京都国立近代美術館,三重県立美術館,東京国立文化財研究所そして後に東京国立近代美術館,岡山県立美術館のスタッフを加えて鹿子木孟郎のご遣族の全面的な協力のもとに,鹿子木孟郎の遺品(絵画作品・書筒・図書査料など)を調査・研究してきた。その調査はまず島田康寛氏により鹿島美術財団の研究成果報告(1987年)で発表され,続いて他の機関で荒屋鋪透,児島薇女史,山梨絵美子女史により報告された。当初の目標であった遣品による展覧会の開催は,1989年に三重県立美術館で『鹿子木孟郎:水彩・素描展』を,また1990年の『没後50年鹿子木孟郎展』(主催:三重県立美術館・神奈川県立近代美術館・京都国立近代美術館・岡山県立美術館・美術館連絡協議会ほか)によって達成された。現在同委員会は第1次調査を終え画集編簗委員会を発足させて,各委員による第2次調査を実施している。本稿はその第2次調査の一端である。鹿子木孟郎とジャン=ポール・ローランスをテーマに,遺品に含まれる基礎査料・第1次査料を公開し,その賽料により鹿子木とロランスの関連年譜を作成してみた。基礎査料は主に遣品に見られるローランス作品(明らかにローランス作と特定出来るもの),鹿子木孟郎の写生帳であるが,年譜のあとに記した文献中,特に高階秀爾氏と山梨絵美子女史の研究成果にその多くを負っている。まず以下に遺品中のローランス作品を列挙してみる。①《本を読む男》(仮題)/油彩・板/26.8 x 34. 7cm/画面右下に“amon cher Kanokogui ②《牛と修道師》(仮題)/油彩・キャンヴァス/41.5 x 32. 4cm/画面左下に“Amonancien ③《剣の男など》(仮題)/油彩・キャンヴァス/41x 27.3cm/画面右下に“J-PLaurens. _ 0J -荒屋鋪透Souvenir d'Yport"とJPLのモノグラム。参考図版1eleve et ami Kanokogui J. P Laurens 1917”。参考図版2a mon jeune ami et eleve Takeshiro Kanokogui”。参考図版3

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