った。人形道祖神にはI 「村境型」:大型の話人形が中心。II 「小正月型」:小型木製,及び邸人形がある。東日本10県に分布し,そのうち二神型の像は,秋田,青森,岩手,福島,新潟,茨城,千葉の7県である。名称は,ワラニンギョウ(青森県むつ市,岩手県遠野市),ボーノカミ(青森県平賀町),ショウキサマ(岩手県湯田町,新潟県腐瀬町),ジンジョサマ(秋田県田代町),テングサマ(茨城県土浦市),カシマニンギョウ(茨城県袖ヶ浦市,千葉県君津市)で,これらはいずれも男女一対の像であるが,福島県西会津町のニンギョウサマは男女像ではなく阿11牛像である。ここで注謡しておくべきは,I「村境型」は男女一対像よりは,男神一体の方がはるかに多い,という事実である。これは『今昔物語集』巻13第34紀伊国美奈部の道机神の項に「男ノ形ノミ有テ,女ノ形ハ無シ」とあるのを想起させる。陥本型は男神一体型であって,男女一対型は少数派である。男女像の性差表現は,①表情②髪型③性器・乳房による。③はしばしば誇張されるか,これは単なる性差表現であり,性神的儒仰は希薄とされる。この「村境型」道祖神への主たる祈願は悪疫退散で,形代から守護神に転化したものとされる。毎:年の「作り替え」や「お色直し」は,前項の石造双体道机神の白粉をるケースと同様で,効力の更新を紅図するものと解されている。村内巡行は形代的役割を示すものといえる。II 「小正月型」「小正月型」には,①家ごとに祭る小型木偶と②地域で祭る大型の磁人形や木像の2種類あって,二神型を考える上で重要と思われるのは①である。①は長野県,新潟県,群馬県,山梨県,静岡県,神奈川県に特に多く,石造道祖神の分布と重なることが指摘されている。そのはか東京都,山形県,福島県,富山県にもある。この木偶は男女一対のものが多く,一般的にはヌルデの生木で作られ,頭部のみを作り首以下は棒状で,性差表現は表情による。I 「村境型」-71 -
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