鹿島美術研究 年報第9号
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3. まとめ先祖神ニア・ニータの依り代で,古木の幹に目と鼻を刻んだもの。頭と胴体だけで,手足は無い。男の方が大きく作られる。(3) その他白山神と二神型との関わりを調査したが,これは期待した成果が得られなかった。今回の調査により,東日本には二神型が極めて普遍的に存在していることと,それぞれの名称には差があっても,造形的にはかなりの共通点が認められること,また,信仰面でも共通点があることが明らかになってきた。二神型は,男女一対を基本とする先祖神・柑箪神と言えるであろう。但し,課題も多く残された。西日本は二神型が希薄なのか,それはなぜなのか,東日本の二神型は縄文時代には遡る可能性はないのか,東南アジアや朝鮮半島,あるいは北アジアとのつながりはどうか,などである。また,今回は民俗事例の調査が中心になったか,仏教や神道にも二神型祭祀が無いわけではない。今後,これらの調査の栢み重ねを地道に行っていくつもりである。鹿島美術財団の助成により,全国を広く調査できたのは大変有益であった。深く謝瓶を表する次第である。-75

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