隆教授立会い,上智大学江上教授同行。手本,縮図,粉本等と呼ばれる一連の地味な絵画作品,特に探幽によるものを閲覧。探幽縮図ならびに探幽関係作品は東京国立博物館,京都国立博物館等にて鑑賞した。同時に狩野派の作品又は漢画(水墨画)系作品を出来るだけ鑑賞すべく下記のコレクション,および美術館を訪問した。名古屋城(狩野探幽筆「帝鑑図」等)二条城(江戸初期狩野一派による襖絵)竹生島神社(滋賀県)(狩野光信の壁画)談山神社(奈良県)(狩野重信の歌仙絵)熱海MOA美術館(黙庵筆「布袋図」等)根津美術館(芸阿弥筆「観瀑図」)五島美術館(倦可筆「雪嶺斎図」等)岡山県立美術館(「水墨画の至宝」展)作品閲覧を行った博物館,美術館の館貝の方々とは貴重な意見交換の機会を持ったが,それに加えて下記の各施設の学者,専門家との交流も行った。東京では上智大学比較文化研究所の江上緩教授,東京大学教授辻惟雄氏,同河野元昭氏,東京大学資料編纂所教授黒田日出男氏,東京芸術大学教授海老根聰郎氏,東京国立文化財研究所所員島尾新氏,明治学院大学講師山下祐二氏等である。関西では元大阪大学教授武田恒夫氏と交流,又「岡墨光堂」の岡岩太郎氏の京都国立博物館のアトリエでは修理中のフリアー美術館所蔵品である良全筆水墨画「十六羅漢図」と伝可翁筆「寒山図」を詳しく観察,専門の修理技術者の方々と交流した。又談山神社に於いての狩野重信筆扁額「三十六歌仙図」を調査の際には,同行いただいた奈良国立博物館館長山本信吉氏と交流をさせていただいた。東北大学付属図書館,又仙台市立博物館訪問の際は,東北大学の有賀祥隆教授と交流,色々教示を受けた。滞日期間中,今回の研究テーマである絵画の下絵・模本の問題とは直接の関係はないが,京都の国際日本文化研究センターより講演を依頼され,3月9日「チャールズ・フリアーとフリアー美術館」という題で公開講演を行った。3ヶ月余とは言え,鹿島美術財団の国際交流の援助により,計画したプロジェクト大小共に何らかの形で成果をあげる事が出来,鹿島美術財団と,日本で客員研究員として迎えていただいた上智大学比較文化研究所に感謝の意を表する次第である。-25
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