鹿島美術研究 年報第10号
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—ーワトーからドラクロワまで一一」-34--—中国/日本,男性性/女性性一」② アメリカ合衆国における日本美術史研究の方法論に関する研究報告者:学習院大学文学部助教授千野香織1993年9月14日より11月30日まで,2ヶ月半の間,私はアメリカ合衆国ケンブリッジにあるハーヴァード大学名誉教授ジョン・ローゼンフィールド氏の招きにより,同大学美術史学科の客貝研究貝として滞在し,美術史の方法論について研究した。その間,客員研究員として講演を行う一方,同大学の各専門分野の教授と美術史の方法および方法論について話し合い,また講義や演習を聴講した。さらに東海岸を中心として他の大学をも訪問し,講演を行うとともに,教授や学生たちと美術史の方法および方法論について話し合った。その間には,各地の美術館を訪れて作品調査を行い,学芸員とも同主旨の話し合いを行った。以下は,その報告である。ハーヴァード大学における客貝研究員講演は,2回行なった。1回目10月23日「日本絵画における鑑賞者の役割と物語の構造」2回目11月4日「日本の自己規定にみる性差(ジェンダー),立場,他者このうち2回目の講演の内容を手直ししつつ,「日本美術とジェンダー」をテーマとして,ハーヴァード以外の4大学においても講演を行なった。日程と大学名,および招待講演の企画者は,以下の通りである。10月29日ソースモア大学メアリベス・グレービル11月12日アムハースト大学サミュエル・モース11月17日コロンビア大学バーバラ・ルーシュ,デヴィッド・センサバー,ヘンリー・スミス11月20日ワシントン大学カレン・プロックさらにアムハースト大学においては,10月21日,モース氏とともに源氏物語絵巻の演習を行なった。聴講したハーヴァード大学の講議および演習は,次の通りである。ノーマン・プライソン「フランス絵画における物語ジョセフ・カーナー「美術史の方法と理論」ェヴァ・ライヤーバーカート「フェミニスト理論と現代芸術」

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