鹿島美術研究 年報第10号
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(3) 国際会議出席① 第28回ベルリン国際美術史学会会議(XXVlllth International Congress of the History 出席者:大和文華館学芸部次長を会場として1992年7月15日から7月20日までの期間で開催された。今回の会議のテーマは,‘‘ArtisticExchange"である。国際美術史学会会議は従来「西洋美術史」を中心として構成されているが,今回はじめて,「日本美術史」のセッションがもうけられた。セッションのテーマは,“Foreignり,ICCのRoom9で開かれたこのセッションには,およそ70名の出席者があり,最初に議長の河野元昭氏によるセッションのテーマの説明があり,ひきつづき坂本満氏,筆者,(コーヒー・ブレイク),清水義明氏,CianCarlo Calza氏,DorisCroissant 女史の順で研究発表(英語)がおこなわれ,最後に出席者と発表者との間で白熱したディスカッションがおこなわれ,午後6時に終了した。この「日本美術史」の会議は大会の中でも成功したものの一つといわれ,それはこのセッションをプロデュースされた河野元昭氏の力によるところが大であった。この会議に出席して,国際的に日本美術史にたいする関心が高まっていることをあらためて認識した。私の発表の題目は,“JapanesePainting in Its "Social Context" : Yosa Buson's ~ Poetry Circle and His Painting of ~and Rocks"である。日本絵画史を研究する場合,作品を制作と鑑賞(享受)の「場」で解釈することの重要性を指摘し,江戸時代の与謝蕪村の『秋蘭と石』図を例にして具体的に説明した。そして,そのなかで,今回のテーマである「外国の影聾要素」に関連して,中国文化の影響の大きさ深さについて説明した。今回の発表では,とくに日本絵画の特質の一つである「席画」の問題をとりあげたが,西欧では近年,美術におけるパフォーマンスが問題になっており,この内容は出席者の興味をひいたようである。つぎに,筆者の今回の研究発表のレジメ(日本語文)を記しておく。林進of Art、Berlin,July 15-20, 1992) "Comite International d'Histoire de l'Art" (CIRA)の主催による第28回国際美術史学会会議がドイツ・ベルリンの“InternationalesCongress Centrum Berlin" (ICC) Elements in Japanese Art, 16th to 19th centuries"である。7月20日,午後2時よ-37 -

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