(2) 海外派遣th-Century Japanese Art")出席-16th-Century Art in Japan"(「十六世紀の日本美術にみる日本様式の成立」)と① シンポジウム「16世紀の日本美術における主題」(Thesymposium on "Themes in 16 報告者:慶応義塾大学文学部教授河合正朝アメリカ合衆国のオハイオ州クリーブランド市にあるクリーブランド美術館は,アメリカ国内でも五指にはいる東洋・日本に関する優秀な美術作品の蒐集の行われていることで,すでによく知られている。1991年は,同館の創立75周年に当り,その記念事業の一つとして日本の文化庁との共催という形で’'TheTriumph of Japanese Style 題する特別展が企画された。この展覧会には,35点の絵画,および陶器,漆器,染織品を含む工芸品40点が展示された。このうちの殆んどは,日本から持ち込まれ出品された作品であるが,伝土佐光信筆「花鳥図屏風」(バージニア州リッチモンド美術館蔵),「四季竹図屏風」(メトロポリタン美術館蔵)「桐に鳳凰図屏風」(クリーブランド美術館蔵)など,室町時代のやまと絵屏風を考える上で,研究上賞重な在米美術館所蔵の作品も展示されるなど,興味深く,また大変に充実した展覧会であった。同館では,この展覧会に併せ,1991年11月2日と3日の両日にわたり,シンポジウム「Themesin 16th-Century Japanese Art(十六世紀の日本美術における主題)」が開催され,わたくしも鹿島美術財団の援助を得てこれに参加することが出来た。このシンポジウムは,三つのセッションからなり,第ーセッションの漆芸では,フリヤー美術館のアン・ヨネムラ,メトロポリタン美術館のバーバラ・フォード,ハーバード大学のウイリアム・サモニーズの三氏が,第ニセッションでは,フリヤー美術館のルイーズ・ロート,ライス大学のリチャード・ウィルソンの両氏と日本から参加した東京国立博物館の矢部良明氏と文化庁美術工芸課の斎藤隆正氏を加えた四名が,それぞれに研究発表を行った。第三セッションは絵画で,コロンビア大学の村瀬実恵子,スタンフォード大学のメリンダ・タケウチ,ピッツバーク大学のジュディー・スタップス,ワシントン大学のカレン・ブロックの四教授とわたくしの五名が研究報告を行ったが,わたくしは,「15世紀後半・16世紀の日本にみる中国花鳥画の変容」と題し,中国絵画の日本における変容,つまり,中国画の日本化の問題を,十五世紀後半62
元のページ ../index.html#86